舞台上での立ち位置の取り方を巧みに~舞台の心(しん)と副(そえ)~
ペーいちです。
舞台上での立ち位置の取り方って、はじめのうちはとても難しくないですか。
舞台に慣れてきて、なんとなくこのあたりかな、という地点は分かっても確信持って立ち位置はここ、と入れていますか。
立ち位置が悪いと舞台上のバランスが崩れてしまいますし、「そこじゃない場所」に立っていて平気な俳優さんは下手だと思われてしまいます。
例えば「あの俳優は立ち位置の取り方が上手い」というときは、その俳優は「そこしかない」という地点に入り込んでいることが多いです。
演技者と演技者、あるいは演技者と物のそれぞれの位置によって、舞台上に「心」と「副」関係が生じていることを理解すれば、「立ち位置」の取り方は巧みになります。
それでは「舞台の心と副」について説明していきますね。
舞台の心と副
すでに書きましたが、立ち位置の取り方の上手い俳優は「そこしかない」という場所に入り込んでいることが多いです。
これは「空間感覚」ともいえるもので、俳優に求められる資質の中でも基礎的なものと言えます。
基本原理としては「舞台中央前面、客席に向かって立つ」位置から「どこをどう動けば、どのように空間は変化するか」を思考することにあります。
ちなみにこの場所は、客席との落差が「プラスマイナスゼロ」の地点とされていて、「劇中」ではなく「劇外」のポイントです。
演技者と演技者、あるいは演技者と物のそれぞれの位置関係によって、舞台上に「心」と「副」の関係が生まれていることを理解する必要があります。
開かれた存在と閉じた存在
「開かれた存在と閉じた存在」ということを通じて「舞台の心と副」について説明をしていきます
まず、登場人物が向かい合って立ちます
Aが上手奥に向かってうずくまる
「閉じた存在」であるAを開こうと、BはAに背中を向けて、顔だけをAに向けます
Aが身体を開いて立ち上がります。BはAに背を向けて下手奥を見ます
上の一連の4つは、空間の「心」と「副」を捉え、意図的に対象物を「開こう」、あるいは「閉じよう」と動きをしています。
「心」=「核」=「閉じた存在」、「副」=「照り返し」=「開かれた存在」となります。
舞台上にある2つ以上のものは、一方が「閉ざされた存在」となり、他方が「開かれた存在」となることによって、関係しあいメリハリをつけます。
演技者は「開こう」として「閉じる」のであり、「閉ざそう」として「開く」のです。
観客に背を向けてうずくまってた姿勢は、最も「閉じた」状態であることを示します。この状態の演技者は舞台上のものを「開こう」としていることになります。
逆に、観客に正面を向いて立つときは、演技者は最も「開いた」存在となって、対象物を「閉ざしこもう」としていることになります。
立ち位置がわからないという場合には、まずこの「開かれた存在と閉じた存在」という考え方をしてみてください。
対象となる俳優を目立たせたいときには、自分が「閉じる」ことによってその存在を際立たせ、逆に自分が開くことによって、ほかの俳優や対象物を「閉ざしこもう」とすること。
これを原理原則と捉えて、立ち位置をさぐってみてください。
何度かやるうちに、「ここしかない」場所を見つけることができるようになるでしょう。
まとめ
舞台上の立ち位置は非常に大事です。
舞台経験を何度も積むと、なんとなく居心地がいい場所がわかるようになるとは思いますが、その感覚だけで演技をしていると、その勘が狂ったときに手痛いしっぺ返しを受けることがあります。
この「心」と「副」という考え方をもとに、勘だけではなく、確信をもって立ち位置のみならず、演技を、演劇空間を飼いならしてほしいと思います。
今回は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます
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